雲
州
雑
詩
仁
科
幹
(白
谷
) |
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大
嶽
削
り成
す三
萬
丈
絶
巓
縹
渺
有
無
の中
雪
氷
を吹
き散
じ來
つて雹
と作
す
涛
聲
地
を動
かす北
冥
の風
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大嶽削成三萬丈
絶巓縹渺有無中
吹散雪氷來作雹
涛聲動地北冥風 |
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語 釈 |
○大嶽==伯耆の大山。出雲からその雄姿が遠く望まれる。
○削成==斧で削り成したように聳えている。
○絶巓==絶頂。最上のいただき。てっぺん。
○縹渺==高く、遠く、かすかなさま。
○有無==あるとなしと。
○雪氷==雪や氷。
○雹==ひょう。雨が凍って氷となり、雨に混じって降るもの。
○涛聲==大波の声
○北冥==北の海。ここは日本海を指す。
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通 釈 |
(平声東韻) 神人が大斧をふるって削り成したかのように。、三万丈の大山の峯が聳えて、絶巓は雲煙の中に、あるが如く、なきが如く、遠くかすんでいる。
おりから雪や氷を吹き散らかし、時ならぬ雹を降らせて来たと見たら、なんと北海 (日本海) の風に、波涛が大地を動かし鼕々と鳴っていたのである。 |
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題 意 |
この詩は、出雲 (島根県) から大山を望んで作ったものである。大山は鳥取県西部にある標高1713メートル、南北28キロに亘る広大な裾野を持つ休火山で、中国地方第一の高峰。通称、伯耆富士、一名角磐山、大山隠岐国立公園の主要部をなす。
春は野鳥、夏は登山、秋は紅葉、冬はスキーでにぎわう。
この詩、一に 「富士山」 と題するが、誤りである。
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余 説 |
白谷は猪飼敬所・亀田鵬斎に愛せられ、当時、頼山陽に匹敵するものは白谷であるといわれたという。この詩の如き、さすがに豪壮の気が満ちている。
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