劍
舞
の 歌
安
積
武
貞
(東
海
) |
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日
出
の國
に名
寶
有
り
百
錬
の精
鐡
鍛
造
する所
光
鋩
電
閃
夏
猶
寒
し
風
蕭
蕭
として髪
冠
を衝
く
請
う看
よ日
出
男
兒
の膽
白
刃
を蹈
み砲
丸
を犯
す
砲
丸
を犯
し堅
陣
を陥
れ
縦
横
搏
撃
して山
嶽
震
う
死
の榮
有
りて生
の辱
無
し
須
いず將
臺
約
束
を受
くるを |
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日出國兮有名寶
百錬精鐡所鍛造
光鋩電閃夏猶寒
風蕭蕭兮髪衝冠
請看日出男兒膽
蹈白刃兮犯砲丸
犯砲丸兮陥堅陣
縦横搏撃山嶽震
有死之榮無生辱
不須將臺受約束 |
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語 釈 |
○日出國==日本の国をいう。聖徳太子が随に贈る国書に、 「日出づる処の天子、書を日没する処の天子に致す」
とあって、以来日本の異名となった。
○名寶==有名な宝物。日本刀は世界に冠たる日本の宝であるからいう。
○百錬==何百回も折り曲げ、たたいて、鍛えた。
○鍛造==きたえて造りあげる。
○光鋩==一に 「光芒」 に作る。同じ。光のきらめくのをいう。
○電閃==いなずまのようにひらめくこと。
○風蕭蕭==史記の荊軻伝に、 「荊軻が燕の太子丹のために秦王政 (後の始皇帝)
を刺すべく途に上がった時に、太子丹をはじめ諸人が易水で別宴を開いた。高漸離が筑を撃てば、荊軻は、 『風は蕭蕭として易水寒し、壮士一たび去って復た還らず』
と歌った。送別の人々は皆慷慨目を瞋らし、髪が逆立ち冠を指した」 とある。
○髪衝冠==唐の 駱賓王の 「易水送別」 の詩に、 「此地別燕丹 壮士髪衝冠」 とある。
○蹈白刃==白刃の地を踏むこと。中庸に、 「白刃は踏むべきなり。中庸は能くす可からざるなり」 とある。
○搏撃==うちたたく。斬りまくるのにいった。
○將臺==将軍が部下を指揮する台。
○約束==つかねる。ひきしめる。指揮命令をうけることにいった。
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題 意 |
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通 釈 |
「日出づる国」 の日本に名宝がある。幾百回も鍛錬した精鉄で作られた日本刀である。鞘をはらえば光はきらきらと電
(イナズマ) のようにひらめき、夏でも肌寒く、かの荊軻が易水の別れにあたって、
「風は蕭々として易水寒し」 と歌ったら、見送る人の髪は冠を衝きあげたというが、まさにそれにも似た思いがある。
これを帯びる 「日出づる国」 の男児の胆力がどんなものか、見てもらいたい。
白刃の地を踏み、砲丸の下をくぐり、砲丸の中をくぐって敵の堅陣を陥れ、縦横無尽に斬りまくる、その勢いは山岳をも震わすばかり。君国の為には死して栄名を望むとも、生きて恥辱をさらすことはない。将軍の命令督制を受けるまでもないのである。
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余 説 |
日本刀の快利と武士の精神を遺憾なく描き出している。東海は豪快悲壮な詩を作る。
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