柳
藤
井
啓
(竹
外
) |
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宅
を卜
して此
に柳
を栽
えしより
吹
き過
ぐ東
風
二
十
春
長
條
を把
つて輕
しく地
を佛
うを休
めよ
如
今
地
上
更
に塵
多
し |
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自従卜宅此栽柳
吹過東風二十春
休把長條輕佛地
如今地上更多塵 |
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語 釈 |
○自従==「自」 「従」 も、ともに動作の起点をあらわす前置詞で、ヨ リ と読み、 「から」 と訳する。二字連続しても一字分と同じに読む。
○此==この処
○栽柳==陶淵明以来、柳は隠者につきものである。五柳先生伝に、 「宅辺に五柳樹あり、因りて以って号と為す」
とある。
○吹過東風==平仄のために主語と述語が逆になった。東風吹過と同じ。東風は春風。
○二十春==二十回の春。つまり二十年の歳月をいう。
○把==手に持つ意であるが、詩では 「以」 と同じに用いる。
○長條==長い枝。
○輕佛地==軽率に地をはきたてること。
○如今==ただいま。
○更多塵==更は 「より一層」 。昔にもまして。塵は俗悪の事にいう。
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題 意 |
柳を詠じたものであるが、陶淵明 (五柳先生)
に傚い、塵俗をのがれ自適したい意を述べた。もとより時世を諷したものである。 |
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通 釈 |
住居をここに定め、周辺に陶淵明にならって柳を植えてから、はや二十年の春を過ごした。
私は柳に向かっていう、 「その長い枝で、春風の吹くままに、軽々しく地上を払ってはならないよ。今日地上には従前にもまして塵が多くなっているのだからね」
と。
(世間には見たくも聞きたくもない嫌な事が多い。淵明のような清らかな生活に終始したいものだ。どうかそういうものを見せつけないでくれ。)
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