「敵国降伏」の額を掲げた宮崎八幡宮の楼門のあたりは、今もなお浪は天を撃つばかりに高く激しい。
当時海岸に築かれた防塁の跡も依然として昔のままに残っている。蒙古十万のの兵が没した跡もそのままに、神功皇后が三韓を征伐されたおり、この地から船出し給うたことも久しく伝えられている。
このようにこの地は多くの歴史を持つ旧跡であるが、今日は全く変わって春の月が海に城郭の影を浮かべて美しく、夕暮れ迫る州のあたりは絃歌の声が流れて行く、
なんと太平のようすが見えるではないか。
ここかしこのしだれ柳の下に商い船をつなぎ安心してそれぞれに商いをしているのも全く太平の恩恵に浴しているのである。
|
|
伏敵門頭浪天を拍
つ
当
時
の築石
自
ら依
然
たり
元兵海
に没
す蹤猶
在
り
神后韓
を征
す事久
しく伝
う
城
郭影
は浮
ぶ春
浦
の月
絃
歌
声
は隠
る暮
州
の煙
昇
平
象
有
り君看取
せよ
処
処
の垂楊
に賈
船
を繋
ぐ |
|