余(よ) に 問(と) う 何(なん) の 意(い) あって 碧山(へきざん) に 栖(す) むと 笑(わろ) うて 答(こた) えず 心(こころ) 自(おのず) ら 閑(かん) なり 桃(とう) 花(か) 流水(りゅうすい) 杳然(ようぜん) として 去(さ) る 別(べつ) に天(てん) 地(ち) の人間(じんかん) に非(あら) ざる有(あ) り
人は私に、どういうつもりでこのようなみどりの山奥に住むのかとたずねる。 私は笑って答えない。 他の人が何と思おうと私の心はゆったりとのどかである。 見たまえ、美しい桃の花びらが清らかに流れる水に浮んで、はるか遠くに流れ去っていくのを。 このような様子を見るにつけ、俗世間を離れた別の天地があるということを痛感するのである。