海路が安全であるとかないとかいったことはもともと心の中にこだわることではない。 そのようなことは大空に浮ぶ雲が、風に流されていくのと同じである。 夜の波静かな三万里の海上に船を乗り出し、月明りの下、あたかも錫杖を飛ばして天空をゆくかのように海を渡ろうというのである。