洞庭湖より西方を望めば、楚江が湖水と分かれているのが見え、その水の尽きる南の空は広々として雲も見えない。 だが日暮れともなれば、長沙すなわち湖辺一帯は、秋の景色が遠く連なって何処とも見分けがつかない。 此の地には湘君の霊が祭ってあるが、このように秋色濃い湖辺の景色の中では、湘君を弔おうと思っても、一体どのあたりなのか見当もつかない。