しつ だい (外甥がいせい 正直まさなおしめ す)
西郷 南州
文政十 (1827) 〜 明治十 (1877)

一貫唯唯諾 従来鉄石肝

貧居生傑士 勲業顕多難

耐雪梅花麗 経霜楓葉丹

如能識天意 豈敢自謀安
一貫いっかん としてたく
従来じゅうらい 鉄石てっせきかん
貧居ひんきょ けっ しょう
勲業くんぎょう なんあらわ
ゆき えてばい うるわ しく
しも楓葉ふうよう あか
てん らば
豈敢あにあえ みずかやす きをはか らんや

一度よろしいと承知したならば、それを最後まで貫きとすべきであり、それは元来鉄石のような堅い心によるものである。
人並みすぐれた人物は、家が貧しく、あらゆる困苦に打ち克ってのちに生まれてくる。
また、いろいろな勲功事業も多くの艱難の中から現れる。
梅の花は、厳寒の雪に耐えてこそ、あの美しい花を咲かせ、あの香りを発する。
また、楓の葉は、霜を凌いでのち、見事な紅葉となるのである。
君がもし、この天の心を知りえたならば、どうして自ら安逸をむさぼっていられようか。