こう げつ
龜田 鵬齋
宝暦二 (1752) 〜 文政九 (1826)

滿江明月滿天秋

一色江天萬里流

半夜酒醒人不見

霜風蕭瑟荻蘆洲
満江まんこう明月めいげつ 満天まんてんあき
一色いっしょく 江天こうてん ばん なが
半夜はんや さけ むればひと えず
霜風そうふう 蕭瑟しょうしつ たりてき しゅう

明月は川の流れをくまなく照らし、秋気は天に満ちて澄みわたり、空と見分けのつかぬ色の大河の水は、遠く流れて天に接しているようである。
夜半に酒の酔いも醒めて気付いてみると、あたりに人影一つ見えない。
ただ秋風がそよそよと荻や蘆のしげる洲を吹いているのみである。