ほたる
大槻 磐渓
享和元 (1801) 〜 明治十一 (1878)

柳外流光照水清

無風無月夜三更

一螢忽被垂條觸

誤墜波心滅復明
柳外りゅうがい流光りゅうこう 水清すいせい らす
かぜ つき よる 三更さんこう
いつ けい たちまこうむすい じょう るるを
あやま って しん ちてめつ また めい

柳の枝を避けて飛び交う螢の光が明滅しながら清らかな水に映って美しい。
風もなく、月も姿を見せないこの夜更けである。
一匹の螢が、とつぜん柳の枝にふれ、あやまって川の波間に落ちたが、やはりそのままの光を明滅させている。