せつ しゅう じょう
頼 山陽
安永九 (1780) 〜 天保三 (1832)
酒家粉壁映晴波

官道乾沙度淤河

風景依然人欲老

楠公墓下十經過
しゅ 粉壁ふんぺき せい えい
官道かんどう乾沙かんしゃ わた
風景ふうけい ぜん ひと いなんとほつ
楠公なんこう たびけい

ここ灘の酒造家の白壁は、晴れ渡った海の色に映ってみごとな景色である。
山陽道の乾いた砂路や水のない泥河を渡ってきたが、こうした風景は昔と変わることはない。
しかし、自分は昔のままではなくなった。大楠公の墓のそばをたびたび行き来するうちに、すでに老境に入ろうとしている。