ぼう ろうすい しょ (五首の一)
蘇 軾
北宋 (1036 〜 1101)

黒雲翻墨未遮山

白雨跳珠亂入船

巻地風來忽吹散

望湖樓下水如天
黒雲こくうん すみひるがえ していまやまさえぎ らず
はく たまおどら らしてみだ れてふね
かぜ たってたちまさん ずれば
ぼう ろう みず てんごと

黒い墨をこぼしたような夕立雲が広がっているが、未だ向こうの山の遮り隠さないうちに、西湖に浮ぶ船には、白い珠がはね乱れるように雨が降り注いでいる。
忽ち地をも巻上げるような風が吹いて来て、雨を吹き散らすと、空は晴れわたり、 望湖楼下の湖は、何事も無かったような大空を映して澄みわたっているのである。