見下ろすと月が水の中にあり、見上げると月は雲間に現れている。 私が橋の上に立つと、私の影と月と月の影とを数に入れて、四人になる。 このような景色が古人の筆にのぼって、詩に歌われたことはなかったが、なんで清新さを書き写す詩がなくてよかろうか、このような景色はこれまでにない清新な詩によってこそ活写しうるのである。 高らかに詩を吟ずると一つがいの白鷺がびっくりして飛び立ち、蘆の花の中へ飛んで入って、何処へ行ったのかすっかり分からなくなってしまった。